総合内科医のブログ

読んだ論文をゆるくまとめて載せるブログです。二次資料として使用される場合は責任をとりかねます。またご意見・ご指摘あればよろしくおねがいします。

Breathtaking Journey

N Engl J Med 2012;367:452-7.

 

ハンタウイルスについてすこーししらべました。

 

ってなわけで症例。

48歳男性の発熱・頭痛・筋肉痛・嘔吐などの症状があり、その2日後に咳嗽・呼吸困難が出現した。

海外渡航歴として、3週間前にキャッツスキル山地で9日間すごした。過ごした山小屋で鼠おもいた。2週間前には何かにかまれた。1週間前にカルフォリルニアに移動し、サンヲーキンバレーでハイキングなどをした。

 

血液検査では、WBC 8600(51% 桿状核球、39% 分様核球、6% 単球、2% リンパ球)で、PLT 40000、Ht 46%AST・ALTが40程度であった。

胸部単純X線写真で、心拡大はないが、肺水腫が認められた。

 

CTRX・DOXYが開始されたが、入院翌日も改善せず、酸素を必要とした。

その後血液検査で、バベシア・アナプラズマの所見はなかった。患者は徐々に改善し、ドキシサイクリンを10日間完遂し、5日目に退院した。

 

B.microti, A phagocytophilum, Ehrlichia chaffensis, C immitisなどの抗体検査は陰性で、ハンタウイルスのIgMが陽性であった。

 

ハンタウイルスについてup to dateでお勉強。

鼠などの齧歯類が、尿・便・唾液(噛まれて感染は報告なし)のエアゾルを吸入することで起こりうる。

incubation periodは結構幅があって14-17日(9-33日)らしい、

臨床症状としては、悪寒・発熱・頭痛・筋肉痛・嘔吐などのflu like symptomにくわえて、3-7日日後咳嗽や呼吸困難などのphaseがやってくる。

 

血液検査では、血小板減少と左方移動(中毒顆粒や異型リンパ球などはない)・Ht高値などがある。