日本内科学会雑誌 2020 4月
HIVを合併し、下垂体前葉機能低下症・下垂体炎をきたした神経梅毒の1例。
31歳男性。
亜急性-慢性の頭痛・発熱で紹介受診。
身体所見で、右顔面神経麻痺と右錐体路兆候あり。
まあこの流れなら、髄液検査→MRIはやるよな。
それで、髄液で単核球優位の細胞数増加・蛋白増加、MRIで左淡蒼球・両側顔面神経・脳底部軟膜などなどに信号異常あり。
HIV陽性でRPR陽性。そして髄液もって話。
まあそうだよね。
それは調べるよねって感じ。
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全身性毛細血管漏出症候群
おお・・・っ。
なんだこれ。初めて聞いたぞ。
69歳男性。
COPDと甲状腺機能低下症が背景にあり、今回発熱・咳嗽・両側の浸潤影で外来で抗菌薬を施行したが改善せずに入院した。
個人的に興味深い病歴としては、
・入院1年2ヶ月前にバリウム検査を行った後で血圧低下を伴わない全身浮腫と倦怠感
・入院8ヶ月前にも気管支肺炎を契機に、同様の症状がある、
そして多分重要なのはいずれも回復しているという点。
つまりここには、「妖しい繰り返すナニカ」が存在すると予測する。(まあこれの正体が全身性毛細血管漏出症なのだろうけど)
さらに、肺炎の経過はなんとなく良さそうだけど
・入院5日目に、全身倦怠感が強く、血液検査でHb 13→20, Ht 39%→55.1%、で血管濃縮にも関わらずAlb 3.4→2.5になっている。そして腎機能も一気に悪くなり、ショックになるという。
全身性毛細血管漏出症は、①前駆期→②漏出期→③回復期
① 前駆期:1-2日程度、全身倦怠感・腹痛・嘔吐・全身倦怠感・四肢の筋肉痛・多飲などの症状が出現する。
②漏出期:前駆期の1-4日後に血管外漏出が始まり、低血圧・濃縮・低アルブミン血症みたいになる。
③回復期:漏出期の数日後に回復する。この時期に管理に困るのは、volumeが一気に戻ってくるので、肺水腫・volume over loadに注意が必要である。
結構感染を契機に(up to date上だと30%くらい)起こるらしく、年間平均3回“発作"を起こすようだ。
なんとなく「血小板が下がらないTAFRO」に見えたり、「抗菌薬不応性の敗血症性ショック」みたいな感じに見えるっすね。pseudosepsisに入れたら?
Mタンパク血症・とくにIgGのκ型をもつ人が多いらしい。
3例目
消化管出血を契機に診断された健常成人に発症した腸結核の1例。
なんとなくここのポイントは
今まで元気だった40歳女性に、突然、血便が起きたということだと思うんすよね。
この年齢に、血便の原因である虚血性腸炎とか憩室出血とか起きます?
というところで、違和感を感じますよね。
多分そこで鑑別になるのが、IBDとかベーチェット病とか、エルシニア・カンピロバクター、NSAIDS起因性腸炎、アメーバ腸炎とかになるんと思うんよね。
①回盲部が最も多く、②小腸もまあまあ多い。
初見としては、①不整型潰瘍、②輪状潰瘍・輪状狭窄、③瘢痕萎縮、④腸管変形が多いらしい。
いや今回は濃厚な症例達でした。次回もまた
ただ、神経梅毒でIII, VII, VIIIがやられるのは知らなかったわ。