総合内科医のブログ

読んだ論文をゆるくまとめて載せるブログです。二次資料として使用される場合は責任をとりかねます。またご意見・ご指摘あればよろしくおねがいします。

アルコール

 

アルコールは1単位=20g。※具体的には以下

ビール5% 500ml(=中瓶1本)

日本酒15% 1合(180mL)

ウイスキーダブル1杯(43%) 60mL

ワイン14% 1/4本 180mL

焼酎 25% 0.6合 110mL

 

そうするとあの患者は、角ハイボール 500mL 7%だと、285mLで1単位・・5杯だと、約9単位=180g。これに加えてビールで3単位、ウイスキーで3単位だと、合計15単位=300g 

 

体重60kg(分布容積0.65L/kgとすると)の人が1単位のアルコールを摂取すると

20g×1000 = 20000mg / 60×0.65×10 dL = 51mg/dL上昇する。

飲酒運転に相当するのは、50mg/dL以上。。

 

エタノールが抜けるのは1時間あたり15mg/dLであり、1単位ぬけるのに3-4時間は要する。

つまりあの患者は40-60時間程度かかったと考えられる。

 

さて次にアルコール性ケトアシドーシスについて考えていく。

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エタノール分解時のNADH / NAD

上記をみるとエタノール分解時には、NADH / NAD比が上昇して、アセト酢酸はβヒドロキシ酪酸に変化しやすくなる。またピルビン酸も乳酸に変化しやすくなり、乳酸アシドーシスを合併する。

 

ケトン体には、アセトン・アセト酢酸・βヒドロキシ酪酸があるが、尿中ケトンでつかまえられるのは、アセト酢酸なので、アルコール性ケトアシドーシスでは尿中ケトンが陰性になりやすい(感度56%)

 

AKAの診断においてβヒドロキシ酪酸 250μG/mL ( 2400μmoL/L)で優位と考えらられる。

 

ちなみにエタノール血中濃度は浸透圧ギャップ×4で推定していいと思われる。

 

●機序

アルコール性ケトアシドーシスは、図のようにアセトアルデヒド→酢酸に肝臓で分解される。これが肝臓から排出されてアセチルCoAに変換されてエネルギー源として使用される。このアセチルCoAは①Krebサイクル ②脂肪酸の生成 ③ケトン体生成に使用される。グルカゴン/インスリン比が上昇すると、ケトン体生成のために脂肪酸が肝臓に集められる。

ちなみにお酒をのんで酢酸が生成されている間は、脂肪酸分解が休止するため、脂肪酸が肝臓に送られてケトン体が合成される。そんため軽度-中等度のAKAはお酒をのんでいる間におこるらしい。逆に重症のAKAだとやめた後におこるらしい。

一方でエタノール濃度が下がった後には、低インスリン・高グルカゴンの影響をうけて空腹が増大され、コルチゾールやカテコラミンが生成され、脂肪分解がおこる。

 

ケトンが作られたあとは、エタノール分解時に生じたNADH / NAD比が上昇により、アセト酢酸はβヒドロキシ酪酸に変化しやすく、またピルビン酸も乳酸に変化しやすくなり、乳酸アシドーシスを合併するようになる。

 

●症状

・嘔吐・腹痛など

・アルコール摂取終了後わるくなることもあれば、2-3日かかることもある。

・1番の特徴は、アシデミアがひどいのに意識は清明であるということ。(おそらく浸透圧が著名に変化していないという点が起因していると考えられる。)

 

●検査

混合性アシドーシスになることが多いらしい。

AG非開大性のほうは、ケトンと一緒にNaとClがでていくことによるもの(Naがたくさんでていくのか?あるいはClが相対的にでていかないのか)と書かれているがどうなのだろう。

尿中AGは測定してもケトンの影響をうけるので、尿中浸透圧を測定すべきであった。

 

ポイントは、

エタノールによって生成された酢酸がアセチルCoAになり、ケトン体を大量に作る。

②これが、お酒を飲んでいる時・または飲み終わった後(カテコラミン・コルチゾール)によりケトン体合成が進む。

ケトアシドーシスになる。

ってことだね。

 

DKAインスリンが分泌されていないことに伴うものであり、

①変わりにケトン体がエネルギー源と使用されるため脂肪酸からたくさん作られて

ケトアシドーシスになる。。

③その時に血糖がインスリンが使用できないためにあがる。

が原理。