総合内科医のブログ

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よくわからない急性腎障害の原因は?

2020 Jan 2;382(1):74-78

When the Cause Is Not Crystal Clear

 

元々CKDがあるBMI41の男性の数日で進行する急性腎障害。

補液してもよくならず、腎後性の要素もない。

腎性の原因として、RPGNをきたすようなANCAとかANAとか補体とか抗GBM抗体とかSCL-70とかだしたけど全部陰性。

 

最終的に、腎生検して24時間の尿中シュウ酸と血中のシュウ酸濃度を測定して高かったことからoxalateによるcrystal induced acute kidney injuryと診断された。

 

シュウ酸が沈着した原因として、orlistatっていう脂肪吸収阻害をきたす薬剤が原因だsった。(吸収されなかった脂肪酸はカルシウムと結合するため、本来であればシュウ酸カルシウムとして腸管から排泄されるはずなのに、シュウ酸がカルシウムをとられて、シュウ酸が吸収されてしまうことが原因と考えられる。)

 

さてここからはお勉強で、高シュウ酸尿症の原因としては、原発性と続発性があるみたい。原発性はシュウ酸代謝による問題で、AGXT・GRHPR・HOGA1の遺伝子欠損によりおこる。(常染色体劣勢遺伝)。一方で続発性というのは、薬剤性( orlistat ) とか膵臓機能障害とかビタミンCたくさん飲んでいるとかエチレングリコール中毒とか消化管手術後・IBDとかが原因となる。

 

疑う状況っていうのは、RPGNっぽいんだけどANCA・GBMANAとか陰性でIgA腎症みたいなpresentationでもない状況のときになのかなあとか思ったり思わなかったり。まさにWhen the Cause Is Not Crystal Clear (原因が明らかではないときに) という原題どおり。

 

ただこのcrystal induced acute kidney injuryって、アシクロビルとかメトトレキサートとかシプロフロキサシンとかでもおこるんですね...(up to date Crystal-induced acute kidney injury 2019/1/13閲覧). 勉強になりました。