A Rapid Change in Pressure
N Engl J Med 2020;382:563-70.
74歳女性。
6週間前からの進行する呼吸困難で受診した。
その他の症状としては、6ヶ月で9kgの体重減少・食欲低下・咳があった。
起坐呼吸や夜間発作性呼吸困難、発熱・戦慄、wheeze、動悸、黒色便・血便は認めなかった。
患者は、受診前に他の病院で胸部単純X線を撮影されたが浸潤影はなく、DVTエコーでも所見はなかったという。このときにPSLとジスロマックが5日処方されたが改善しなかった。
受診時の身体所見では血圧113/69mmHg, PR 108/min, BT 37℃, RR 24/min, SpO2 88%であった。聴診上II音の亢進と肺底部でcracklesを聴取した。
うーん。なかなか渋かったのは、自分が「呼吸困難」という主訴で落としそうなリストがよくわかったところ。
「呼吸困難」で佐々木が落とすリスト
・肺高血圧症
・アシデミア (中毒etc)
・シャント (肺内・心内)
ですね。II音なんて意識して聞きにいかないとぜったいわからないし(もしかしたらエコーやってあとでわかりました的なことになるのかもしれないけど)
ABGは呼吸性アルカローシス・Aa-DO2は開大・D-dimer 1392mg/dL・V1-3, III, aVFのT波陰性化を認めた。
造影CTでは肺動脈に造影不良域は認められず、椎体に硬化性病変が認められた。
心エコーでは、EF 70%であったが、右室の拡大を認めた。
うーんやはり肺血栓(もしくは肺腫瘍塞栓)を考える。とくにCTでうつらない微小塞栓ね。なのでここでシンチやるとVQmismatchがあらわになる。
でここで必殺PETが取られていて、全身のリンパ節と椎体と副腎と胆嚢に集積が認められた。
ここまできたら、ああ腫瘍塞栓かなってなるかね。
カテーテル検査が行われて、PA圧が20mmHg, 肺動脈楔入圧が正常であり、まあこの時点でpre-capirally PHということがわかる。
そうするとGroup 1, 3, 4, 5の可能性があがる。
Group 1: PAH; group 3: PH due to lung diseases and/or hypoxia; group 4: PH due to pulmonary artery obstructions; group 5: PH with unclear and/or multifactorial mechanisms.
ここで患者の呼吸状態が悪化してしまい、、そのまま死亡。
剖検で、肺動脈への腫瘍細胞とfibの増生が認められ、胆嚢癌が認められた。
腫瘍塞栓でおおいのは、胃癌・肺癌・乳がん・胆嚢癌←へえっ
結構勉強になりました。
・まず佐々木が落とすリストの中に診断があったことにより落とすリストの有用性があることを認識したこと。
・いやいや腫瘍塞栓なんてどうせたすからないんだから別におとしてもいいじゃないっていうわけにはいかないなと思ったこと(通常患者は3週間から6ヶ月かけて呼吸困難が進行するためすでに時遅してきな文脈で書かれているけども)
がんばろっと。