Clinical Reasoning: An 18-year-old man with progressive headache and visual loss
Neurology® 2018;90:1076-1081.
18歳男性。特に既往歴はない。
3週間前からの頭痛と嘔吐があり、全身強直間代性痙攣で来院した。
羞明・音過敏・視力の低下・発熱や体重減少はなかった。
身体所見ではうっ血乳頭と項部硬直を認め、その他運動・感覚障害・脳神経障害は認められなかった。
頭部単純CTでも所見はなかった。
痙攣と髄膜刺激兆候から髄膜と大脳皮質に病巣があると解剖学的に予想され経過と症状から慢性髄膜炎と考えられた。
頭部MRIでは髄膜の造影効果が認められるのみであった。
髄液検査では、初圧40cmH2O, 細胞数23(リンパ球優位), ブドウ糖1mmol/L未満, Cl 108mmol/L, タンパク 1400mg/dLであった。髄液の抗酸菌染色は陰性で一般細菌培養も陰性、細胞診も陰性であった。
(ここでのツッコミはcurableとして抗菌薬入れてもいいんじゃね?ってことですかね)
結核性髄膜炎の治療が遅れてはいけないということで、抗結核薬が始まったが数ヶ月治療しても増悪してしまい、followのMRIでは脳室が拡大していた。Ommaya reseivorを埋め込んで髄液ドレナージを行った。PSLも途中で投与が開始された。さらにあまりにも抗結核薬が効かないために、抗真菌薬が投与され、少し改善した。しかしその後患者は、視力低下が進行し、筋力低下・T4以下の両側の痛覚・振動覚低下・錐体路障害が出現した。
病巣診断として、脊髄の造影MRIを撮影したところ、髄膜の造影効果が認められた。髄液検査の再検ではタンパクが5000mg/dLまで増加していた。
髄膜生検でprimary diffuse leptomeningeal gliomatosisと診断した。
なかなか難しいですね。
総診のところにくるのは、『慢性髄膜炎の原因精査』とかでしょうか?
ポイントは、『明らかな腫瘍の姿が認められない』時って感じでしょうか。『すでにそこに潜んでいる』というか。
検査としては、髄液細胞診ではあまり異常はでないみたいで、『髄液糖が低い』『髄液タンパクが無茶苦茶高い』っていうありきたりな感じ。
結局診断は髄膜生検です
頑張りましょう。