総合内科医のブログ

読んだ論文をゆるくまとめて載せるブログです。二次資料として使用される場合は責任をとりかねます。またご意見・ご指摘あればよろしくおねがいします。

下痢と頭痛と腹痛と、、、

N Engl J Med 2020;382:365-74.

 

44歳男性。

6ヶ月前からの早期満腹感・嘔気があり、朝・昼は水分メインで夜は食べていなかった。なんかやばそうすね。。。

1ヶ月前になると、頭痛くて、羞明がして髄液検査するとWBC 1306でNeutro 83%でした。VCMとかCTRXとかacyclovirとか投与されたけど培養陰性で全部引かれた。ただその間血痰とか下痢があって、胸部造影CTが撮影されたけど明らかな所見はなく一度退院した。その後も下痢と嘔吐があり、今回の入院へ。

目立った血液検査異常はなし。腹部骨盤部造影CT上は、小腸と大腸の拡張があり粘膜浮腫も認められ、腸間膜血管が目立ちリンパ節も腫大している。

 

なんすかね。なんとなくこの腹を犯しつつ髄膜とかなんとなく局所所見を絞らせないのが、一般的なinfectionっぽくないけど、逆に膠原病とかリンパ腫的な病態でもうーんっていう感じかなあ。とすると寄生虫とかそっち系のauraがするけどどうでしょうか。

 

そのつもりで情報を拾っていくと、カリブ海でそだっていて4ヶ月前に帰郷している。ただこれは今回の症状が起きる前のはなしか?

 

あ確認したら好酸球は上がっているんですね(一過性ってなってますけど)

 

いろいろあって最終的に糞線虫症(strongyloides stercolalis)でしたってこと。この症例と渡航歴は前後関係があわないかなっておもったけど、なるほどこういう感染回路だから合わなくてもいいのかって思いました。

Strongyloides stercoralisは、ヒトの皮膚から侵入して血流に乗り、肺に到達する。肺に到達したあとは徐々に上にあがり、気管→咽喉頭にあがり、それをゴックンして腸管内へ。そこで卵を産みつけて、孵化して便としてでていくっていうのを繰り返す。だからこの症例では前後関係があきらかでなくてもいいわけですね。

 

あとしらなかったのは、strongyloides stercoralisがHTLV-1感染と関係していて、これが関係するとhyperinfectionが起きやすくなって、hyperinfectionの患者とか播種性糞線虫症の患者とかは末梢の好酸球は上がらないみたい。へえ。

この患者の髄膜炎はどっちなんでしょうね。

 

なんとなく寄生虫はわかりますけど、具体的にあがりませんね。

こういうストーリーでくるんすね。。