総合内科医のブログ

読んだ論文をゆるくまとめて載せるブログです。二次資料として使用される場合は責任をとりかねます。またご意見・ご指摘あればよろしくおねがいします。

Clinical Reasoning : A 55 year old obese woman with headache and rhinorrhea

Neurology 2019, e2614-e2617

 

55歳の肥満女性。

併存症に片頭痛と筋緊張型頭痛がある。

5日前からの頭痛を認め来院した。立位と臥位で頭痛が増悪する。。

 

身体診察は、髄膜刺激兆候や乳頭浮腫はなかった。

しかし血液検査では白血球上昇と炎症反応高値が認められた。

頭部CTでもempty sella(頭蓋内圧亢進で起こる)と脳溝消失と小脳扁桃下垂を認めた。

 

(多分ここで頭蓋内圧亢進して炎症反応が高値だから髄膜炎を疑って)

髄液検査が施行され、細胞数6(好中球優位)であった。(細菌学的検査は陰性)

 

MRIでは脳室の狭小化・脳溝消失・empty sella・左蝶形骨の液体貯留を認めた。

MRAでは横静脈洞の狭小化が認められた。

 

これらのwork upしている間に、嘔吐と頭痛が増悪し、左鼻腔から透明の液体が出てきた。。

 

ええ。髄液漏じゃん。

 

Cistenogramで左蝶形骨の後壁からleakが認められた。

抗菌薬とアセタゾラミドが投与され、頭痛は幾分マシになり、蝶形骨のleakしている部分の修復術と脳室シャントが置かれた。

 

診断は髄液漏?なのかと思いきや、

 

特発性頭蓋内圧亢進症 + 髄液漏

 

みたいです。

 

ちなみに特発性頭蓋内圧亢進症は、骨破壊をおこし髄液漏を合併しやすく、そして髄膜炎を起こすことがあるみたい。

横静脈洞狭小化は特発性頭蓋内圧亢進症患者に観察されやすい。

また肥満患者に頭蓋内圧亢進はおこりやすいらしい。治療も減量だしね。

 

この症例から学ぶべき教訓は?

多分髄液検査まではすんなりいくと思うんだよね。

髄液漏・左蝶形骨洞リークまでもいくと思う。

 

それで特発性頭蓋内圧亢進症と髄液漏が繋がないんだと思うな。。

 

だから、ま。

『特発性頭蓋内圧亢進症は髄液漏をきたすことがある。』

くらいでいいのでは?